仕事へのモチベーションが低下したり、キャリアに対する不安を感じたりしていませんか?
「自分に合った働き方が分からない」「転職すべきか悩んでいる」という悩みを抱える人は多いもの。そんなときに役立つのがキャリアアンカーというフレームワークです。
キャリアアンカーは、適したキャリアの方向性を見つけるための手法。自分のコンピタンス(能力)・動機・価値観を整理することで、自分に合った職業や働き方を見極める助けになります。
本記事では、以下の内容を詳しく解説しています。
- キャリアアンカーを活用した自己分析のやり方
- 価値観に基づく8つのタイプの特徴
- 他のフレームワークとの組み合わせ方法
これからのキャリア方針を明確にしたい方は、ぜひ最後までお読みください。
キャリアアンカーは価値観の深堀りに優れたフレームワーク
キャリアアンカーは、個人の価値観の深堀りに優れたフレームワーク。自分のキャリアに対する本質的な価値観や、モチベーションの原動力などを深く掘り下げられます。
- 基となる3つの要素(コンピタンス・動機・価値観)
- 個人の特徴を8つのタイプに分類
基となる3つの要素(コンピタンス・動機・価値観)
キャリアアンカーは、個人のキャリア形成において重要な3つの要素で構成されています。これらを明確に理解することで、キャリアの方向性を把握できます。
要素 | 特徴 |
---|---|
コンピタンス(専門能力) | 自身の専門スキルや知識。強みを理解することで適職を見極めやすくなります。 |
動機 | 行動の原動力や目的。例えば、協力を重視する人はチームワークの職場に適しています。 |
価値観 | 信念や重要視する考え方。仕事と私生活のバランスを重視するなら、柔軟な働き方が可能な職場が理想です。 |
これらの要素を理解し自己分析することで、最適なキャリアパスを見出せます。キャリアアンカーを活用することで、自己肯定感を高め、充実したキャリア形成につながるでしょう。
個人の特徴を8つのタイプに分類
キャリアアンカーでは、個人の価値観や動機、能力を基に8つのタイプに分類します。これにより、自分に合ったキャリアの方向性を見極める手助けとなります。
タイプ | 特徴 |
---|---|
専門・職能別能力 | スキルや知識の向上を重視し、エンジニアや医師など専門職に向いています。 |
経営管理能力 | 大きな責任を担うことにやりがいを感じ、経営者やマネージャーに適しています。 |
自律・独立 | 自分のペースで働くことを重視し、フリーランスやコンサルタントに向いています。 |
起業家的創造性 | 新しいアイデアを生み出すことに興味があり、起業家やスタートアップに適しています。 |
保障・安定 | 安定した職場環境を求め、公務員や大企業の正社員が該当します。 |
奉仕・社会貢献 | 社会貢献を重視し、NPOや教育機関での職種に向いています。 |
ライフスタイル | 仕事とプライベートのバランスを重視し、リモートワークなどが適しています。 |
純粋な挑戦 | 新しい挑戦を求め、営業職やプロジェクトマネージャーに向いています。 |
仕事や人生で何を重視するかを明確にし、キャリアの方向性を見直すきっかけとなります。ただし経験や環境の変化により、価値観が変わる可能性があるため、定期的な自己分析が重要です。
キャリアアンカーを使った自己分析のやり方
キャリアアンカーを活用した自己分析は、自分の価値観や適性を明確にし、理想のキャリアを見つけるための方法です。
- 自己診断の質問に回答する
- 診断結果をもとにキャリアを考える
こちらのサイトを使えば、無料で自己診断できます。
自己診断の質問に回答する
まずは診断のために、40問の質問に6段階評価で回答します。
以下のような質問に対し、「全く違う」「だいたい合ってる」などから選択して回答していきます。
- 「こういうときに充実感が得られる」
- 「こんな環境が自分にとって重要だ」
回答の際は、他人の期待に影響されず、自分の本音に従いましょう。「上司が求めるスキル」ではなく、「自分が本当にやりたいこと」を優先することが大切です。
質問に答えることで、自分の価値観や優先順位が明確になり、キャリア選択の軸が定まります。
診断結果をもとにキャリアを考える
診断を終えると、自動で結果が出ます。この結果を活用し、次のキャリアの方向性を考えましょう。
まず、最も高得点のカテゴリーを確認します。高いスコアのタイプがキャリアアンカーとなり、重視すべき価値観を示しています。ただし、上位3つのカテゴリーもあわせて考慮すると、より多角的な自己理解が可能になります。
例えば、「専門・職能別能力」が最も高い場合、その分野でスキルを磨き、キャリアを発展させる方法を検討するとよいでしょう。「自律・独立」が高い場合は、フリーランスや起業といった選択肢も視野に入れることができます。
診断結果は、あくまでキャリアを考えるための指針です。結果に縛られすぎず、自分の経験や興味と照らし合わせながら、最適なキャリアプランを立てることが大切です。
キャリアアンカーの自己分析はツールが最適
キャリアアンカーの自己分析をスムーズに進めるなら、専用のツールを使うのが便利です。
ツールを活用すれば、自己分析の流れが整理され、漏れなく進められます。オンライン診断なら、時間や場所を問わず手軽に利用でき、忙しい日々の中でもスキマ時間を有効活用できます。
さらに、回答の集計や分析が自動化されているので、客観的な結果を得やすいのも魅力。「キャリアアンカー診断」はアプリのダウンロードが必要ないため、手軽に使えてオススメです。
他の自己分析ツールの結果と照らし合わせて、傾向を探るのも効果的です。
キャリアアンカー8分類の特徴と適職の例
キャリアアンカーは、個人の価値観や欲求を明確にし、キャリア選択をサポートするフレームワークです。エドガー・シャインが提唱した8つの分類には、それぞれ異なる特徴があります。
- 専門・職能別能力
- 経営管理能力
- 自律・独立
- 起業家的創造性
- 保障・安定
- 奉仕・社会貢献
- ライフスタイル
- 純粋な挑戦
自分のキャリアアンカーを知ることで、適切なキャリア選択が可能になり、将来への不安を解消できます。
専門・職能別能力
専門・職能別能力は、自分の専門性を重視し、専門スキルを最大限に活かすキャリアを追求する人に向いています。
エンジニア、デザイナー、医師、弁護士などが該当し、継続的な学習と成長が求められる職種です。例えば、ソフトウェアエンジニアは最新技術を追求し、デザイナーは新しいツールを習得することで専門性を高めます。
このアンカーを持つ人は、管理職よりもスペシャリストとしての地位を求める傾向がありますが、テクニカルリーダーとして活躍することも可能です。
自己実現のためには、オンラインコースの受講や専門家ネットワークの活用が有効です。また、フラットな組織文化やコラボレーションが促進される職場を選ぶことで、スキルを磨き発揮する機会が増えます。
専門性を活かせる環境で働くことが、モチベーションと成長の鍵となります。
経営管理能力
経営管理能力は、リーダーシップと組織運営に重点を置くキャリアアンカーの一つです。
この能力が高い人は、組織全体を俯瞰する力、人材のマネジメント、問題解決力、意思決定能力を備えています。組織の成長や効率化に貢献し、チームを牽引する役割を担うことが特徴です。
適職としては、プロジェクトマネージャー、部門長、経営者、CEO、経営コンサルタントなどが挙げられます。これらの職種では、戦略的思考とリーダーシップが不可欠となります。
経営管理能力をさらに伸ばすには、リーダーシップ研修やマネジメントに関する資格取得を検討するのが効果的です。
最終的に、この能力を活かすには、組織の意思決定に深く関与できる環境を選ぶことが重要です。自身のビジョンを実現し、キャリアをさらに発展させるために最適な職場を見極めましょう。
自律・独立
自律・独立のキャリアアンカーを持つ人は、自分のペースで働くことを重視するタイプです。
組織の制約を避け、自由な意思決定を求めるため、フリーランスや独立起業を視野に入れることが多く、自己決定権を持つことで高いモチベーションを維持できます。
例えば、フリーランスとして成功した人は、自分のスケジュールに合わせて働き、ストレスを軽減しつつ仕事とプライベートのバランスを取ることが可能です。
このキャリアアンカーを持つ人は、自己管理能力が高く、組織の規則よりも自分の判断を優先したい欲求が強い傾向にあります。成果に対する責任を自ら負い、多様な経験を通じて幅広いスキルを身につけています。
適した職業には、コンサルタント、フリーランスのクリエイター、独立系の専門職などが挙げられます。
組織に所属する場合は、自己裁量の範囲が明確な職務や成果主義の評価システムがある環境で力を発揮しやすいでしょう。
自律・独立の傾向が強いことがわかった場合、現在の職場環境が自分に合っているか再評価し、必要に応じて自由度の高い働き方への転換を検討することが重要です。
自分の価値観に合った働き方を選ぶことで、長期的なキャリア満足度を高められます。
起業家的創造性
起業家的創造性は、キャリアアンカーの中でも特に独自性が際立つタイプです。このタイプの人は、新しいアイデアを生み出し、それを形にする能力に長けています。
革新的なビジネスや製品を創造することに強い情熱を持ち、ベンチャー企業の立ち上げや新規事業開発で力を発揮します。
特定技術に特化したスタートアップや、社会課題を解決するビジネスを展開する企業が挙げられます。
一方で、新しいアイデアが既存の仕組みと対立することもあるため、柔軟な対応力やコミュニケーション能力が求められます。業界のトレンドを把握し、ニッチ市場を狙うことが成功の鍵となります。
起業家的創造性を活かしたキャリアは、自己実現の手段であり、適切な環境での活躍が社会に大きな影響を与える可能性を秘めています。
保障・安定
保障・安定のキャリアアンカーを持つ人は、安定した雇用や充実した福利厚生を求め、リスクを避ける傾向があります。
公務員や大企業の正社員など、長期的な雇用が保障され、福利厚生が充実した職種に適しています。安定した収入や予測可能な職場環境を求め、安心して働ける環境を重視しましょう。
例えば、金融機関やインフラ業界の企業は、景気の影響を受けにくく、安定した雇用と福利厚生を提供することが多いです。また、医療や教育業界も長期的な需要があるため、安定したキャリアを築きやすいでしょう。
ただし、完全にリスクを避けることは難しいため、スキルアップや自己研鑽を続けることが重要です。オンラインコースや資格取得を活用し、安定した職場でも成長を続けることで、より確実なキャリアの安定を得ることができます。
奉仕・社会貢献
奉仕・社会貢献のキャリアアンカーを持つ人は、仕事を通じて社会に貢献し、世の中をより良くすることに価値を見出します。
このタイプの人は、行動が他者や社会全体にポジティブな影響を与えることに喜びを感じます。人々の生活の質を向上させたり、社会問題の解決に取り組む機会が多く、やりがいがあります。
例えば、教育者として子どもの成長を支援したり、医療従事者として患者の健康を守ることで社会貢献を実感できます。IT業界では、オンライン学習システムの開発や環境問題のデータ分析プロジェクトなど、技術を活用した社会貢献も可能です。
このキャリアアンカーを持つ人は、金銭的な報酬よりも仕事の社会的意義を重視する傾向があります。企業で働く場合は、CSR活動に積極的に関わり、ボランティア活動や社内プロジェクトを通じて社会貢献の要素を見出すことが重要です。これにより、自己実現を図り、長期的なキャリア満足度を高めることができます。
ライフスタイル
ライフスタイルを重視するタイプは、仕事とプライベートのバランスを最も大切にします。
このタイプの人にとって、仕事は生活の一部であり、他の要素と調和することが重要です。具体的には、フレックスタイムや在宅勤務を求め、長時間労働を避け、家族や趣味の時間を確保できる職場環境を重視します。
ワークライフバランスが取れていることで高いモチベーションを維持できるため、フレックスタイム制度のある企業や、フリーランスとしてスケジュールを自由に調整できる仕事が向いています。
例えば、子育て中の社員が時短勤務を選んだり、趣味の時間を確保するために残業の少ない職場を選ぶケースがあります。
ただし、ライフスタイルを重視することで、キャリアの成長や昇進のチャンスを逃す可能性もあります。そのため、スキルアップのためのオンライン講座を受講したり、定期的にキャリア相談を行うことが重要です。
自分に合った働き方を選ぶことで、長期的なキャリア満足度を高めることができます。
純粋な挑戦
純粋な挑戦を重視する人は、新しい課題や困難に挑み、自分の限界を超えることに喜びを感じます。
このタイプの人は、競争や目標達成がモチベーションの源泉となり、常に新しいスキルを習得しながら自己成長を追求します。
例えば、研究職やスポーツ選手は、新たな発見や記録更新を目指す職業であり、この価値観に適しています。IT企業のシステムエンジニアとしても、最新技術に挑戦するプロジェクトや革新的なシステム開発に関わることが「純粋な挑戦」に該当します。
このキャリアアンカーを持つ人は、単調な業務や安定した環境ではモチベーションが低下しがちです。新しいプロジェクトに参加する、スキルアップの研修を受けるなどで挑戦の機会を得ることが重要です。
これにより、長期的なキャリア満足度を高めることができます。
キャリアアンカーで自己分析を行うメリット
キャリアアンカーを活用した自己分析には、以下のようなメリットがあります。
- 自分の適職を知るきっかけになる
- キャリアを振り返る視点が変わる
- 今後のキャリア方針の軸が固まる
キャリアアンカーによって価値観や動機、能力を分類することで、自分に合った働き方を知るきっかけとなります。
例えば、「専門・職能別能力」が高い人は、特定の分野で専門性を深めることで、より満足度の高い仕事につながる可能性もあるでしょう。
これまでのキャリアを振り返る際にも、キャリアアンカーは有効です。個人的な思い込みを排除した、新たな視点でキャリアを見つめ直せるでしょう。
例えば「起業家的創造性」が強い人の場合、若手の頃から「新規事業の立ち上げ」に興味を持っていたなどの類似点が見つかります。
また、キャリアアンカーを活用することで、将来のキャリアプランをより具体的に描けるようになります。自分の価値観に合ったキャリアを選ぶことで、仕事への満足度やモチベーション向上に役立ちます。
例えば転職をする場合、より価値観に合う職場環境を探したり、自信を持って内定を受けたりと、自信のある選択ができるようになります。
キャリアアンカーを活用した自己分析を行うことで、自分らしいキャリアを築き、仕事や人生に対する満足度を高めることができます。
キャリアアンカーの自己分析で気をつけること
キャリアアンカーを用いた自己分析を効果的に行うために、以下の点に注意しましょう。
- キャリアアンカーの結果は変化する
- 結果にとらわれすぎない
- 他の視点も取り入れる
キャリアアンカーの結果は固定的ではなく、時間や環境の変化によって変わる可能性があります。
例えば、若い頃は「純粋な挑戦」を重視していた人が、家庭を持つことで「ライフスタイル」を優先するようになることもあります。今の診断結果に固執せず、定期的に自己分析を行うことが重要です。
診断結果は、あくまで自分の価値観や適性を知るための指標の一つ。診断結果に固執しすぎると、新たな可能性を見落とすことにつながります。
「保障・安定」が強いと診断されたからといって、転職やキャリアチェンジを諦める必要はありません。環境の変化や新しい経験を通じて、価値観が変わることもあります。
また、キャリアアンカーは自己理解を深める有効な手段ですが、それだけに頼るのは危険です。他の自己分析ツールや、周囲の意見を取り入れることで、より客観的にキャリアを考えられます。
例えば、自分では「経営管理能力」が高いと思っていても、周囲からは「専門・職能別能力」が強みだと評価されることもあります。第三者の意見を参考にすると、新たな適性や可能性に気づくことができます。
キャリアアンカーは、あくまで自己理解を深めるための手段です。結果にとらわれすぎず、定期的な見直しや多角的な視点を取り入れながら、自分に合ったキャリアを選択していきましょう。
他のフレームワークとの組み合わせも効果的
キャリアアンカーは自己分析に有効なツールですが、他のフレームワークと組み合わせることで、より深い自己理解が得られます。例えば、モチベーショングラフと組み合わせることで、以下のような分析が可能です。
- これまでのモチベーションの上がり下がりを可視化する
- 過去の仕事でモチベーションが高かった時期と低かった時期を比較
- キャリアアンカーの分類と関連するか照らし合わせる
例えば「専門・職能別能力」が強い人は、特定のスキルを活かせる仕事でモチベーションが上がる傾向があるかもしれません。「ライフスタイル」を重視する人は、ワークライフバランスが取れている環境で安定したモチベーションを維持できる可能性があります。
モチベーショングラフとキャリアアンカーを組み合わせることで、自分の適性や働き方の傾向をより明確に把握できます。
キャリアアンカーと他のフレームワークを織り交ぜ、より実践的なキャリア戦略を立てていきましょう。
まとめ|キャリアアンカーで仕事への「価値観」を明確にする
この記事では、キャリアアンカーを使った自己分析の方法と効果について紹介しました。
- キャリアアンカーは8つの分類で個人の価値観を明確化
- 自己診断ツールを利用することで効率的に分析可能
- 定期的な見直しと他のフレームワークとの併用が効果的
キャリアアンカーの自己分析を通じて、自分の価値観や強みを明確にしましょう。結果を活かし自己理解を深めることで、より納得感のあるキャリア選択ができるはずです。